公式に囚われてしまった人々の話

塾長
10月になりました。秋らしい爽やかな空気になり、勉強も仕事もバリバリに捗りそうな感じがしますが、感じがするだけかもしれません。ははは。個人的には、夏が終わって冬に向かっていくこの季節は気分が沈みがちです。ああ、夏が終わってしまった・・・なんてことを言っている暇もなく、受験勉強も本格化してくる時期です。受験生のみなさん(そうでない人も)頑張りましょう!

先日、高校2年生の授業で数列のところで「格子点」の問題を扱いました。高校生が持っている問題集には必ずと言っていいほど載っているようなタイプの頻出の問題です。

$x$,$y$ を $0$ 以上の整数,$n$ を自然数とする。$x+y\leqq n$ を満たす点 $(x,\ y)$ の個数を $n$ で表せ.

$x+y\leqq n$ を変形すれば、$y\leqq -x+n$ となるため、考える領域はすぐに見えてきます。
こんな感じです。あとは、$x$ 座標、$y$ 座標がともに整数となる点を考えていくだけです。このとき、適当な整数 $k$ に対して $x=k$ を考えます。当然、領域内でないと意味がないので、$0\leqq k\leqq n$ です。

こんな感じです。$x=k$ 上にある格子点を数えていきましょう。図形の対称性も意識してください。図の黒丸は、下から順に$(k,\ 0)$、$(k,\ 1)$、$(k,\ 2)$、$\cdots$、$(k,\  -k+n)$ となります。個数は、$0$ を含めるので、$-k+n+1$ 個となります。$+1$を忘れないようにしましょう。

あとは、$k$ を $0$ から $n$ まで集めていけばいいことになります。つまり

$$\sum_{k=0}^{n}(n-k+1)$$

を求めればOKということになります。

ところが、この計算ができないという生徒が出てきます。

塾長
格子点の考察はしっかりできているのに、シグマの計算ができねえだと!! どういうことだ〜?

これまでに見てきた生徒の中にも

$$\sum_{k=0}^{n}(n-k+1)=\sum_{k=0}^{n}n-\sum_{k=0}^{n}k+\sum_{k=0}^{n}1$$

のように書いて、固まっている生徒が結構な割合でいます。固まっているならまだしも、

\begin{align*}
&\sum_{k=0}^{n}n-\sum_{k=0}^{n}k+\sum_{k=0}^{n}1\\
=\ &\frac{1}{2}n(n+1)-\frac{1}{2}n(n+1)+n
\end{align*}

なんていうデタラメな計算をやっている生徒もいます。

$$\sum_{k=1}^{n}k=\frac{1}{2}n(n+1)$$

を使いたいのでしょうが、上の式をただ記号的に丸暗記しているため、こういうメチャクチャな計算をしてしまっているのです。

そもそも、

$$\sum_{k=1}^{n}k=\frac{1}{2}n(n+1)$$

なんていう公式を使って計算する必要はありません。実際に

$$\sum_{k=0}^{n}(n-k+1)$$

をシグマを使わずに書き直してみる($k$ に順に、$0$、$1$、$2$、$\cdots$、$n$ と代入していく)と

$$(n+1)+n+(n-1)+\cdots+1$$

となり、$1$ から $n+1$ までの自然数の和となることが分かります。すなわち、交差 $1$ の等差数列で、項数が $n+1$、初項 $1$、末項 $n+1$ なので

$$\frac{(n+1)(1+n+1)}{2}=\frac{(n+1)(n+2)}{2}$$

と簡単に求めることができます。

基礎がしっかりと理解できている人であれば何でもないことです。しかし、公式の丸暗記で乗り切ろうとしている人は、こうした問題で躓いてしまう人がかなり多いように思います。

公式というのは、使えば便利な場面が多いけど別に使わなくても何とかなるものという認識がなく、公式を覚えて使わないと解けないものだと勘違いしてしまっている生徒が一定数います。

そんなわけで、公式に頼ってばかりの人は、一度、自分の使っている公式の意味を考えてみるといいかもしれません。

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