【2022年度】第2回金沢市統一テストの数学を解いてみた【塾生必読】

塾長
1月11日(水)に2022年度の第2回金沢市統一テストが実施されました。第1回の統一テストは微妙な感じの問題が多かったのですが、今回は本気モードの良問が揃った良いテストだったなあと思います。が、これを50分でというのは総合模試以上に厳しいなあというのが正直な感想です笑。70〜80分のテストであればいいんですが・・・

第2回金沢市統一テスト 2022年度(数学)

恒例の「解いてみた」シリーズですが、今回は2022年度第2回金沢市統一テスト(2023年1月11日実施)の問題となります。

前回の第1回の統一テストについては、かなり辛口の批評をしました(以下のリンクを参照してください)。

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今回はガラッと変わって、解きごたえのある良問が揃っていました。ただし、大問数が8問と多いため時間的にはかなり厳しかったと思います。

1つ1つの問題は良い問題なので、試験時間内に解けなかった問題はしっかりと復習をやって実力アップに繋げていきましょう。

概観

第1回の統一テストは表面的なところで終わってしまう問題ばかりで、正直なところ解説記事を作るのも面倒だなと思ったのですが、今回はかなりしっかりと問題が作られていました。

難しすぎず、かといって解法の暗記ではなかなか手が動かないような問題を作るのは、実際にはかなり大変です。問題作成者のレベルが問われるところですが、今回は良問が揃っていましたね。

ただし、大問数が8問と多いため50分の試験時間内にすべてを解き切るのはかなり難しかったのではないかと思います。

問題は入試標準的なレベルの問題が揃っており、難解な問題や奇抜な問題はありませんでした。時間的な厳しさを考慮すると、やや難といったところでしょうか。ただし、近年の中学生における数学力の低下を考えれば平均は50点に行かないのではないかと思います。配点表を見る限り、簡単な問題をしっかりと解けば、50点はいきそうな感じでした。

塾長
配点表を入手しましたが、難しい問題の配点が低かったので、得点は少し高めになるかもしれません。最初はやや難としていましたが、標準と訂正します。
全体的な難易度 標準

大問1

難易度 
(1) ア $13$ イ $-22$ ウ $-12b$ エ $\displaystyle \frac{3x+9y}{2}$ オ $-\sqrt{6}$
(2) $x=-5$ または $x=4$
(3) $12$
(4) $x=41^\circ$
(5) $8$ 分

(4)の角度の問題は少し時間がかかったという人もいたかもしれませんが、全体的に平易な問題ばかりだったので、できれば満点を取っておきたいところです。数学が苦手なタイプの人は大問1で得点を稼がないと悲惨な点数になってしまうので、まずは大問1を確実に取れるように準備しておきましょう。

塾長
上位校を志望している人は、満点を取って当然というレベルですよ。

(1)の計算ではオの根号を含むタイプの計算で手間取る人が多いようです。

$$3\sqrt{10}\div\sqrt{15}-\sqrt{24}$$

いろいろな計算方法が考えられますが、$3\sqrt{10}\div\sqrt{15}=\sqrt{90}\div\sqrt{15}=\sqrt{6}$ がすぐに見えてほしいところです。これが見えれば、$-\sqrt{24}=-2\sqrt{6}$ から暗算で $-\sqrt{6}$ と計算できるでしょう。

塾長
いつも言っていますが数学では暗算力がかなり大切です。途中式を丁寧に書くという指導はよく行われていますが、それ以上に暗算力を鍛えることが大切です。また、暗算をするためには計算の工夫も大切になってくるので、そういう部分にも意識が向くというメリットがあります。計算が苦手だという人ほど、暗算で計算するようにしてみるといいのではないでしょうか。

(2)の $x^2+2x=x+20$ は $x^2+x-20=0$ と整理しなおせば $(x-4)(x+5)=0$ という因数分解がすぐに見えてくるでしょう。

(3)は $y=2x^2$ の $x=2$ から $x=4$ までの変化の割合の問題です。これについては、2点 $(2,\ 8)$、$(4,\ 32)$ を求めて変化の割合(直線の傾き)を考えればOKです。

$$\frac{32-8}{4-2}=12$$

なお、この問題は $2(4+2)=12$ と簡単に求めることができます。この理屈については下図をよくみて考えてみてください。

なお、この $a(\beta+\alpha)$ という結果をありがたがって覚えようとする人がいますが、大して役立つものではありません。上記のように変化の割合をふつうに計算しても労力は大して変わりません。結果を覚えるよりも大切なのは、こういう性質が隠れているということに目を向けてみるということです。

(4)は角度の問題でした。見るからに円周角を考える問題です。最初に与えられているのは $\angle\mathrm{ACD}=60^\circ$ と $\angle\mathrm{CDO}=19^\circ$ の2つです。そして、$\mathrm{AB}$ が円の直径であるということです。

まずは直径がなす円周角 $\angle\mathrm{ACB}=90^\circ$ を押さえましょう。そうすると、$\angle\mathrm{DCB}=22^\circ$ が分かります。そして、この $\angle\mathrm{DCB}$ に対する中心角 $\angle\mathrm{DOB}=44^\circ$ も分かります。このとき、上図の三重線で引いた $\angle\mathrm{CEA}$ については、$\triangle\mathrm{CEB}$ と $\triangle\mathrm{DEO}$ の外角を考えて

$$22^\circ+x=44^\circ+19^\circ$$

が成り立ちます。これを解けば $x=41^\circ$ がすぐに分かります。

(5)は四分位範囲なので、箱の長さを計算しましょう。$15-7=8$ となります。これはサービス問題ですね。

塾長
上位校を狙う人は大問1をサクサク解いていきましょう。ここで時間を取られると大変です。一方、数学が苦手な人は大問1をしっかりと得点できるように丁寧にやっていきましょう。

大問2・確率

難易度 標準
(1) イ (2) 解説参照

大問2は確率の問題でした。問題が会話文となっていましたが、そういう表面的なものに惑わされないようにしましょう。

数直線上に下図のような点P、Qがあります。大小2つのさいころを投げ、Pは大きいさいころの出た目の数だけ、Qは小さいさいころの出た目の数だけ右に移動します。

(1)は「大小2つのさいころを1回投げるとき、点Pと点Qが同じ位置に移る確率」を考える問題です。会話文は途中経過を埋める問題です。

「大きいさいころの出た目の数が、小さいさいころの出た目の数より( )大きくなれば同じ位置に移る」ということですが、最初に2だけずれているため、Pの方がQよりも2だけ大きい数が出ればOKということです。

大小2つのさいころの目の出方は全部で $6\times 6=36$ 通りあり、このうち、大きい方の目が小さい方の目より2だけ大きくなる組は

(小、大)=(1,3)、(2,4)、(3,5)、(4,6)

の4通りとなるので、求める確率は $\displaystyle \frac{4}{36}=\frac{1}{9}$ となります。したがって、答えはイとなります。

次に(2)を考えます。「点Pと点Qの間の距離が2になる場合と3になる場合では、どちらの場合のほうが起こりやすいか、それぞれの確率を用いて説明しなさい」ということなので、素直に確率を考えていきましょう。

さいころ2つの目の出方については、表を利用するのが定番です。

横が大きいさいころ、縦が小さいさいころの目としましょう。上図は2つの目の差を示した表です。2の場合と3の場合のみ書けばOKです。このうち、2と3のどちらが多いかを考えます。2は8個あるので確率は $\displaystyle\frac{8}{36}=\frac{2}{9}$、3は6個となるので確率は $\displaystyle\frac{6}{36}=\frac{1}{6}$ となるため、距離が2になる場合の方が起こりやすことが分かります。

塾長
特に難しい問題というわけではないのですが、(2)は焦ってPがQを追い越すパターンを見落としてしまったりなんてことがありそうです。時間との勝負ですが、焦りは禁物です。

大問3・計算の規則性

難易度 標準

(1) $15$ (2) $a=505$ (3) $a=8$

問題は以下のようなものです。

3つ並んでいる自然数を右から順に $a$、$b$、$c$ とし、これらについて、次の操作をする。
操作1:となり合う2つの自然数の和を求める。
操作2:それぞれの計算で求めた2つの整数の和を求める。
操作2によって求められた値を【結果】とする。

問題には具体例も書かれていましたが、結局、以下のように計算していくということです。

【結果】が $a+2b+c$ です。

(1)は $a=5$、$b=2$、$c=6$ のときなので

$$5+2\times 2+6=15$$

(2)は $a$、$b$、$c$ を連続する3つの自然数($a<b<c$)とするということなので、$b=a+1$、$c=a+2$ と置くことができます。

そうすると、結果は $a+2(a+1)+a+2=4(a+1)$ と表すことができます。これが2024になればいいので

$$4(a+1)=2024\Longleftrightarrow a+1=506$$

したがって、$a=505$ が得られます。

(3)は $b=21$、$c=14$ のとき、結果が $a^2$ と等しくなるという問題です。これも、言われた通りに考えてみましょう。

結果は $a+2\times 21+14=a+56$ となります。これが $a^2$ と等しくなるので

$$a+56=a^2\Longleftrightarrow a^2-a-56=0$$

因数分解すると $(a-8)(a+7)=0$ です。$a$ は自然数なので $a=8$ となります。

塾長
この問題はいろいろと掘り下げると面白いですね。あまりこういうタイプの問題は見かけませんが、個人的には結構好みの問題です。まあ、ただ答えを出すだけなら簡単な計算問題かもしれませんが。

大問4・作図(復習おすすめNo.3)

難易度 

解説参照

今回の作図は難しかったのではないでしょうか。とくに中3の図形の知識がしっかりしていないと、なかなか見えなかったのではないかと思います。

条件としては、$\mathrm{P}$ は $\angle\mathrm{CAB}$ の二等分線上にあるということ、$\angle\mathrm{APB}=30^\circ$、3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{P}$ が1つの円周上にあるという3つです。

1つ目の条件は作図の定番なのであまり問題ないと思います。

2つ目の条件 $\angle\mathrm{APB}=30^\circ$ は一見すると何ということはない条件ですが、これがかなり重要です。3つ目の条件である「1つの円周上にある」というのがなかなか厄介なのですが、2つ目の条件と3つ目の条件を合わせると円周角の定理を利用して、中心角が $60^\circ$ であるということが分かります。このとき、$\angle\mathrm{AOB}=60^\circ$、$\mathrm{OA=OB}$(円の半径)より、$\triangle\mathrm{OAB}$ が正三角形であるということが分かります。(下図参照)

正三角形は作図の定番なので、これによって円の中心 $\mathrm{O}$ を求めることができます。

あとは、円と $\angle\mathrm{CAB}$ の二等分線の交点を $\mathrm{P}$ とすればOKです。

これがしっかり解けた人は自信を持ってくださいね!

塾長
なかなか嫌らしい作図の問題でした。図形の知識を正しく理解していないと、なかなか方針が立たない問題だったと思います。こういう問題は良いですね。

大問5・方程式

難易度 

白メダカ180匹、黒メダカ90匹(計算は解説を参照)

第5問は方程式の問題でした。とくに難しくない問題だったと思います。

問題の重要な部分を抜粋すると以下のようになります。

白メダカ1匹が150円、黒メダカ1匹が100円で、金曜日に合計で250匹売れた。土曜日は割引セールで白メダカだけ定価の20%引きで売った。金曜日と比べて白メダカの売れた数は20%増加し、黒メダカの売れた数は10%減少して、土曜日の売り上げ金額は合計で30600円となった。このとき土曜日に売れた白メダカと黒メダカの数を求めよ。

素直に土曜日に売れた白メダカと黒メダカを文字で置いて考えても良いのですが、少し面倒になります。金曜日に売れた数を文字で置く方が条件を利用しやすいでしょう。

というわけで、土曜日に売れた白メダカを $x$ 匹とすると、黒メダカの方は $250-x$ 匹となります。土曜日は白めだかの売れた数は20%増加しているので、$1.2x$ となり、黒メダカの売れた数は10%減少しているので、$0.9(250-x)$ となります。さらに、白メダカの金額は20%引きになっているので $150\times 0.8=120$ です。土曜日の売り上げ金額は合計で30600円なので

$$1.2x\times 120+0.9(250-x)\times 100=30600$$

となります。これを計算すると、$x=150$ となります。したがって、金曜日に売れた白メダカは150匹、黒メダカは100匹となります。

よって、土曜日に売れた白メダカは $1.2\times 150=180$ 匹、黒メダカは $0.9\times 100=90$ 匹ということが分かります。

塾長
よく文章題が苦手という人がいるのですが、大抵の場合は文章題が苦手なのではなく、数学そのものができていないというケースがほとんどです。そして、そういうタイプの人に多いのは何でもパターンで解こうとするということです。「みはじ」だの「はじき」だのもそうですが、最近では文章の助詞などに印をつけて、よく分からないことをやる生徒もいます。それ、数学の勉強ではないですよ。

大問6・関数(復習おすすめNo.2)

難易度 標準

(1) 4200円 (2) 40L (3) 5000円

大問6は関数の問題でした。1次関数の問題だったので簡単なのですが、問題文が長かったので少々面倒でした。近年の入試問題はこうした長文の問題が増えているので、必要な情報を素早く取り出せるようになっておくことも大切です。

今回はウォーターサーバーのレンタル料と水の料金に関する問題でした。まずは下の設定を把握しておきましょう。

レンタル会社月額料金
A社ウォーターサーバーのレンタル料金は無料
水の利用量1Lあたり150円
B社ウォーターサーバーのレンタル料金は水の利用量にかかわらず2000円
水の利用量20Lまでは無料、以後1Lあたり200円

さらにA社のグラフが以下のように与えられています。

(1)はA社について、水を28L利用したときの月額料金を求める問題です。上の図からキリのいい座標を選ぶと $(10, 1500)$ が得られるので、

$$y=150x$$

が得られます。$x=28$ を代入して、$y=150\times 28=4200$ となります。

(2)はA社とB社で水の利用量が同じで月額料金が等しくなるとき、その水の利用量を求めなさいという問題。ただし、20L以上水を利用したものとします。

まずは、先ほどのグラフにB社のグラフを追加してみます。20Lまではウォーターサーバーのレンタル料金の2000円だけとなり、20Lからは以後1Lあたり200円の水の料金となります。ちなみに(1)の計算過程で1Lあたりの水の料金が傾きになっていることが分かります。

グラフをかいてみると、$x=40$ のところで2つのグラフが交わっていることが分かります。

計算で求めるなら、20L以降のB社のグラフの式を求めていきましょう。傾きは200であり、点 $(20, 2000)$ を通ることを考えて

$$y=200x-2000$$

したがって、$y=200x-2000$ と $y=150x$ を連立して解くと $x=40$ となります。

(3)の問題は以下です。

C社でウォーターサーバーをレンタルすると、水の利用料金は、水の利用量にかかわらず1Lあたり50円であることがわかった。C社でレンタルした場合、水の利用量が50Lをこえたときにはじめて、A社、B社の両方よりも月額料金が安くなるという。C社のウォーターサーバーのレンタル料金を求めなさい。

C社の水の利用料金は1Lあたり50円なので、$y=50x+b$ のように表せます。

50LのところでA社、B社の両方よりも月額料金が安くなるので50LのA社とB社の料金を確認すると、B社は8000円、A社は7500円となります。

ということは上図の赤線のように、点 $(50, 7500)$ を通る直線となることが分かります。先ほどの式に代入すれば

$$7500=50\times 50+b$$

これより、$b=5000$ となります。これがウォーターサーバーのレンタル料金となります。

塾長
シンプルな1次関数の問題ですが、なかなか良く作られているなあと思いました。直線の式については、傾きや切片という言葉を知っていても、それがどういうものなのかをよく理解していない人もたくさんいます。この問題でいろいろと考えてみてほしいですね。

大問7・空間図形(復習おすすめNo.4)

難易度 標準

(1) BC、CD (2) $\mathrm{96cm^2}$ (3) $\mathrm{144cm^3}$

大問7は空間図形の問題でした。空間図形というだけで敬遠してしまう人もいるようですが、やってみると案外簡単に解けてしまう問題もあるので、食わず嫌いにならないようにしておきたいですね。

今回は正四角錐についての問題でした。

底面 $\mathrm{ABCD}$ は1辺の長さが $\mathrm{12cm}$ となります。また正四角錐の高さは $\mathrm{8cm}$ となります。

(1)は辺 $\mathrm{OA}$ とねじれの位置にある辺を答える問題です。これはとくに問題ないでしょう。まず、交わっている辺はすべて該当しないので外して考えます。そうすると、辺 $\mathrm{CD}$、$\mathrm{BC}$ が残ります。これらは辺 $\mathrm{OA}$ と平行ではないので、ねじれの位置の関係にあることが分かります。

(2)は、下図のような点が与えられます($\mathrm{Q}$ はこちらで設定しました)。

問題は以下です。

$\mathrm{M}$ は頂点 $\mathrm{O}$ から辺 $\mathrm{BC}$ にひいた垂線と辺 $\mathrm{BC}$ との交点で、$\mathrm{OM=10cm}$、$\mathrm{P}$ は辺 $\mathrm{OB}$ の中点である。このとき、正四角錐 $\mathrm{O-ABCD}$ を、点 $\mathrm{P}$ を通って底面 $\mathrm{ABCD}$ に平行な平面で2つの立体に分けたとき、頂点 $\mathrm{O}$ をふくむ立体の表面積を求めなさい。

以下、面倒になってきたので単位を省略します。

側面の三角形はすべて合同なので、どこか1つを取り上げて考えましょう。ここでは、$\triangle\mathrm{OBC}$ を考えましょう。

ということで、求めたいのは $\triangle\mathrm{OPQ}$ です。$\triangle\mathrm{OBC}\sim\triangle\mathrm{OPQ}$ であることは明らかなので、中点連結定理から $\mathrm{PQ}=6$ を求めて、高さも半分の $\mathrm{5}$ となることから求めていくこともできますが、$\triangle\mathrm{OBC}$ と $\triangle\mathrm{OPQ}$ の相似比が $2:1$ と簡単なので、ここでは相似比から面積比を使って求める方法で考えます。

$\mathrm{OM=10}$、$\mathrm{BC=12}$ なので

$$\triangle\mathrm{OBC}=\frac{1}{2}\times 12\times 10=60$$

となります。そして、$\triangle\mathrm{OBC}$ と $\triangle\mathrm{OPQ}$ の相似比が $2:1$ なので面積比は $2^2:1^2=4:1$ となります。したがって

$$\triangle\mathrm{OPQ}=\frac{1}{4}\times 60=15$$

表面積は、この三角形が4面と正方形の底面($6\times 6=36$)1面となるので

$$15\times 4+36=96$$

が求める立体の表面積となります。

(3)は下図における三角錐 $\mathrm{QBCD}$ の体積を求める問題でした。追加される条件は $\mathrm{OQ:QD=1:3}$ です。

体積を計算する場合は、当たり前ですが底面と高さをどこに取るかというのがポイントになります。底面は $\triangle\mathrm{DBC}=72$ とするのが簡単そうなので、この時の高さがどうなるかを考えてみましょう。

 

 

もともとの正四角錐の対称性を考えると、上図のように $\mathrm{OG}$ は底面 $\mathrm{ABCD}$ に垂直となります。また、断面の $\triangle\mathrm{ODB}$ 上に点 $\mathrm{G}$ と点 $\mathrm{Q}$ が存在するので、下図のような断面図を考えることができます。

求める立体の高さは $\mathrm{QH}$ ですが、これは $\triangle\mathrm{DQH}\sim\triangle\mathrm{DOG}$ であり、$\mathrm{DQ:DO=QH:OG=3:4}$ から求めることができます。最初に与えられる条件から $\mathrm{OG}=8$ が分かるので

$$\mathrm{QH}=\frac{3}{4}\times 8=6$$

となります。したがって、求める立体の体積は

$$\frac{1}{3}\times 72\times 6=144$$

となります。

塾長
空間の問題は、とんでもなく面倒な問題もあるのですが、最近は比較的シンプルな問題が多いように感じます。ただし、断面を考える問題は必ずと言っていいほど出題されるので、苦手な人は実際に立体を切ってみるという経験をしておくといいでしょう。具体的なイメージを持っているのとそうでないのとでは大きな差がありますので。

大問8・平面図形(復習おすすめNo.1)

難易度 やや難

(1) 解説参照 (2) $84^\circ$ (3) $\mathrm{5cm}$

最後の大問は平面図形の問題でした。図形全般が苦手な人は、解きにくい問題だったと思います。

$\angle\mathrm{ABD}=\angle\mathrm{ACB}$、$\mathrm{AD=AE}$ が条件として与えられます。ついでに、$\angle\mathrm{ADE}=\angle\mathrm{AED}$ まで押さえておきましょう。

(1)は $\triangle\mathrm{ABE}\sim\triangle\mathrm{BCD}$ の証明です。相似の証明ですが、辺に関する情報が少なすぎるので、ここは2つの角を狙っていくのが筋でしょう。

まず、与えらた仮定から $\angle\mathrm{ABE}=\angle\mathrm{BCD}$ となります。

また、$\angle\mathrm{ABE}+\angle\mathrm{BAE}=\angle\mathrm{AED}$、$\angle\mathrm{BCD}+\angle\mathrm{CBD}=\angle\mathrm{ADE}$ であり、$\angle\mathrm{ADE}=\angle\mathrm{AED}$、$\angle\mathrm{ABE}=\angle\mathrm{BCD}$ であるから

$$\angle\mathrm{BAE}=\angle\mathrm{CBD}$$

となり、2組の角がそれぞれ等しいことが言えたので、$\triangle\mathrm{ABE}\sim\triangle\mathrm{BCD}$ となります。

塾長
もっとシンプルに $\angle\mathrm{AEB}=180^\circ-\angle\mathrm{AED}$、$\angle\mathrm{BDC}=180^\circ-\angle\mathrm{ADE}$ として$\angle\mathrm{AEB}=\angle\mathrm{BDC}$ を示してもOKです。

(2)は角度の問題です。(1)の結果も利用できるので、等しい角をきちんと押さえておきましょう。ここをしっかりと確認すれば、比較的簡単に解けてしまいます。

 

求める角 $\angle\mathrm{EAD}=x$ とします。上図において、$\circ+\bullet=48^\circ$ となります。さらに、$\triangle\mathrm{ABC}$ の内角の和については

$$x+2\times \circ+2\times \bullet=180^\circ$$

が成り立つので、$x=180^\circ-48^\circ\times 2=84^\circ$ となります。

(3)は線分 $\mathrm{BE}$ の長さを求める問題ですが、長さに関する条件は与えられないので相似を利用していくしかなさそうです。この問題は、見えないときはとことん見えないタイプの問題なので、苦戦した人も多かったと思います。

嫌らしいのは(1)の相似だけでなく、途中過程から見えてくる相似を利用するところです。

$\angle\mathrm{ABD}=\angle\mathrm{ACB}$ と $\angle\mathrm{BAD}$ が共通の角となることから $\triangle\mathrm{ABD}\sim\triangle\mathrm{ACB}$ が分かります。このとき、$\mathrm{AD}=s$ とすると

$$\mathrm{AD:AB=AB:AC}\Longleftrightarrow s:12=12:18$$

が成り立ちます。したがって、$s=8$ が得られます。これより $\mathrm{AD=AE=8}$ が分かります。

次に、(1)で証明した相似を利用します。

$\mathrm{BE}=t$ とすると、$\mathrm{BE:CD=AE:BD}$ がなりたつので

$$t:10=8:(t+11)$$

が成り立ちます。これを整理すると $t^2+11t-80=0$ となり

$$(t-5)(t+16)=0$$

から $t=5$ が得られます。

塾長
相似を中心とした程よい問題でした。とくに線分の比の問題は思考力を問われる問題なので、じっくりと図を見ながら考えてみましょう。見るだけではなかなか見えてこないという人は、自分の手で図を一回描き直してみてください。そうすると気が付かなかった部分に気がついたり、なんてこともあるので。

解いてみての感想

塾長はトータル30分ほどで解きました。1つ1つの問題を見ていくとそこまで難しい問題は含まれていませんでしが、後半の幾何の問題では、作図と平面図形の問題でなかなか方針が立たずに時間を食われてしまったという人が多かったのではないかと思います。

一方で、満点を取れたという人も少なからずいそうです。手際よく問題を解ければ時間内に完答が可能な問題レベルだったと思うので、数学が得意な人は高得点が可能だったと思います。配点も、難しい問題にそこまで点数が割り当てられていないため、全体的にもそこまで悪くはならなさそうな感じですね。そんなわけで、解くべき問題をきちんと解けていれば実力通りの結果となる良いテストだったのではないかなと思います。

さて、私立高校の入試もだんだんと迫ってきました。志望校に対する自分のリアルなポジションも見えてくる時期でしょう。それに伴って、不安が大きくなってくる時期でもあります。そうした不安を煽るようなことを言う人もたくさんいますが、まだまだ学力は伸びます。今回の統一テストの結果から、ボーダーラインを予想する人なども出てくるかもしれませんが、いつも言うように、参考程度に考えておけば十分です。ボーダーラインに届いていないから絶対に不合格になるわけではないですし、ボーダーラインを超えているから必ず合格するわけでもありません。

不安のあまり、そうした情報に振り回されてしまう人も出てくる時期ですが、そんなことを考えていても学力がアップするわけではありません。落ち着いてやるべきことをしっかりとやっていきましょう。時間は残り少なくなってきましたが、まだ残されていますよ!頑張りましょう!

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