先日、twitterで絶対値についてのツイートを見て、いろいろと辿っていました。
こんな議論が交わされているんですね。
基本的に、僕は定義に忠実に考えるべきだという立場です。
\begin{align*}
|a|=\begin{cases}a&(a\geqq 0)\\-a&(a\leqq 0)\end{cases}
\end{align*}
というのが絶対値の定義です。そして、絶対値の性質として \(|a|\geq 0\) も重要です。
正の数の絶対値はもとの正の数です。負の数の絶対値はもとの負の数にマイナスをつけたものです。それ以上でもそれ以下でもありません。
したがって、\(|-5|=+5\) としてもなんの問題もないはずです。まあ、ふつうは\(+5\)ではなく単に\(5\)と書くわけですが、\(+5=5\) です。
しかし、この答案をテストでバツにする先生もいるそうです。
ということは、その先生の中では \(+5 \neq 5\) ということなんでしょうか。謎です。
そんなわけで、色々とリンクを辿ってあれこれ見てみたわけです。
どうやら、この絶対値について絶対値というのは符号をとった数という教え方をしている人が結構いるらしい。
そんなこと、定義のどこにも書いてないと思うのですが。
確かに、\(a\) が負の値のときは \(-a\) とするわけです。これを具体的な数字で考えれば
$$|-5|=5$$
です。こうするとあたかも符号が取れたような感じがします。しかし、定義を見れば明らかですが、負の値に対してはマイナスを付けていることになります。
さらに、こうした説明は正の値に対してや0に対して非常に不誠実な感じを受けます。
もっと言えば、複素数の絶対値についてはどのように説明するのでしょうか。
テストで点を取るためには、こうした安直な方法がウケがいいのは分かります。
そして、そういう説明を生徒が分かりやすいと思ってしまう気持ちも分かります。とくに数学が苦手な生徒にはその方が「正解」できる方法かもしれません。(答えは正解ですが、その考え方は数学的にはマズいです。)
しかし、そういう教師を「良い先生」としていいんでしょうか。疑問が残ります。
そういう説明を受けた生徒が、複素数の絶対値を見たときにどう思うんでしょうか。
そんなの、そのときに理解し直せば良いなどと簡単に言ってはいけないと思います。
最初に刷り込まれたものが間違っていた場合、それを正すのはとても難しいのです。
こうした教師がどのくらいいるのかは知りませんが、存在しているということは事実です。
少なくとも、自分の教える教科には愛情と責任を持ってもらいたいものです。