2023第4回石川県総合模試の数学を解いてみた

塾長
10月15日に第4回石川県総合模試が実施されました。当塾としては第3回の受験は任意だったので、今回が1ヶ月ぶりくらいの模試となりました。数学は、第2回、第3回と易しめの問題が続いていましたが、今回はどうだったんでしょうか?

総合模試を受験した受験生のみなさん、お疲れ様でした。

10月も半ばとなり、金沢市統一テストも迫ってきました。受験勉強も本格化してきている頃ではないかと思います。

模試を受けた人は、しっかりと復習をやって今後に活かしていきましょう。

今回も、第2回、第3回と同様に易しい問題が多かったように思います。今年度は難易度を抑えめにしているのでしょうか?

易しくなったのはいいのですが、面白い問題が減ってしまい、復習の効果が少し薄れてしまっているのが残念です。

今回の模試では大問3、大問6の(3)、大問7の(3)の復習をやっておくのがオススメです。

概観

設問数は、いつも通りの大問数7(小問数22)で石川県総合模試の標準的なセットでした。

過去の試験では難しい問題が多く、時間内に解き切るのは非常に難しい試験でしたが、今年度はかなり易しい問題が増えており、50分ですべて解けたという人もそれなりにいたのではないかと思います。上位校を狙っている人で数学を得点源にしたい人は、このレベルのセットであれば完答を目指してほしいなと思います。

前半の代数分野の問題は、大問3の関数が少し手間がかかる問題でしたが、それ以外は簡単な問題ばかりでした。とくに大問2の統計の問題は取ってつけた感があり、わざわざ大問で出題する必要があるのか疑問でした。後半の幾何の問題も、大問6と大問7のそれぞれ最後の問題がやや難しめの問題で、それ以外はかなり平易な問題でした。どちらかと言えばミスの許されない問題が多かったように思います。

いつもはいろいろと注意点を書いていますが、今回のようなレベルであれば少々雑な勉強をしていても高得点が取れてしまうのではないかと思います。そういう意味では、もう少し思考力を問うような問題が多くてもいいように感じました。模試を受験するいちばんの意味は、自分が抱えている問題点の把握だと思うので、誤魔化しが効くような問題はできるだけ少なくしてほしいですね。

全体的な難易度 やや易

ここからは問題の具体的な解説となります。

塾長
問題用紙を準備してご覧ください。

大問1

内容 小問集合

難易度 

大問1はどのレベルの受験生であっても満点を目指しましょう。ここでしっかりと得点できるようにすることが大切です。

(1)の計算では、根号の入った計算がポイントになります。ここで面倒な計算をしてしまっている人をよく見かけます。

\begin{align*}
\sqrt{33}\div \sqrt{11}+\frac{15}{\sqrt{3}}&=\sqrt{3}+5\sqrt{3}\\
&=6\sqrt{3}
\end{align*}

と途中式なしで頭の中でサクッと計算してしまいましょう。

(2)の2次方程式は $(x-3)(x+4)=0$ と因数分解できるので、すぐに $x=3$ または $x=-4$ と解が求まります。

(3)は $y$ 軸との交点なので、$x$ 座標は $0$ となります。$x=0$ を代入すれば $y=-5$ がすぐに分かります。よって、求める座標は $(0,\ 5)$ です。

(4)は大問1の中では比較的頭を使う問題でした。と言っても、問題を読みながら4個とすぐに答えられた人もいるでしょう。$\sqrt{100-2n}$ が自然数となるので、根号内が平方数になる必要があります。また、$n$ は自然数なので $100-2n<100$ となります。さらに、$100$ も $2n$ も偶数なので、$100-2n$ も偶数となります。つまり、根号内は $1^2$、$2^2$、$3^2$、…、$9^2$ のうち偶数となるもの、すなわち偶数の2乗となるものなので、$2^2$、$4^2$、$6^2$、$8^2$ の4つとなります。

(5)は確率の基本的な問題です。すべてのパターンを書き出してみて、該当するものをカウントしましょう。

(1,2)(1,3)(1,4)(1,5)
(2,3)(2,4)(2,5)
(3,4)(3,5)
(4,5)

全10通りのうち、該当するのは太字の3つとなるので、求める確率は $\displaystyle \frac{3}{10}$ となります。

塾長
大問1はどの問題集にも載っていそうな単問形式の問題ばかりなので、入試に向けた勉強をきちんとやっていれば自然と点数が取れるはずです。ケアレスミスが多い人は、ミスを完全に無くすことはできないので、チェック方法をいくつか用意しておきましょう!

 

大問2

内容 統計

難易度 

大問2は統計(箱ひげ図)の問題でしたが、あまり意味のある出題とは言えない問題でした。もう少し切り込んでもいいように思いますが、この範囲はちゃんと扱っていないという人もいるようなので、難しいところです。

(1)は知識の問題です。与えられた箱ひげ図からは、最小値、第1四分位数、中央値、第3四分位数、最大値が読み取れます。このとき、B組の最大値が11冊になっているため、B組には必ず11冊の生徒が存在することになります。とくに何も考えることなく、B組と分かるでしょう。

(2)はデータの散らばりについての問題でした。箱ひげ図自体がデータの散らばりを比較するための(視覚化する)ものなので、箱ひげ図を表示する意味を分かっていれば、深く考えなくてもできたのではないかと思います。

見た感じでもA組の方が広がっていて、B組の方が詰まっています。つまり、A組の方がデータの散らばりが大きいということです。「範囲」と「四分位範囲」の2語を用いるということなので、範囲も四分位範囲もA組の方が大きいから、くらいのことが書いてあれば十分です。

塾長
箱ひげ図とヒストグラムのイメージが繋がっていれば、大問2は1分で終わったのではないかと思います。統計の問題は知識重視な感じなので、まずは用語について押さえておきましょう。

 

大問3(復習おすすめNo.2)

内容 関数

難易度 標準

大問3は関数の問題でした。前半の問題では差がつきそうな問題で、それなりに楽しめる問題でした。問題文が長く感じた人もいるかもしれませんが、近年の入試では数学の試験であっても文章量が増加の一途を辿っているので慣れておく必要があります。

塾長
大切なのは、必ず自分の手で情報を整理し直すということです。読むだけでは情報の見逃しや勘違いが起こるので、書き出す癖をつけておきましょう。
直方体の水そうAと水そうBがあり、ともに深さは40cm
水そうAには20cmの深さまで水が入っている
水そうBは空

給水口がどうしたこうしたというところは問題には関係ないので無視してOKです。
さらに、大切なのが、以下の2つの操作です。

水そうAについて
水の深さが40cmになるまで毎分 $a$ cmずつ増えるように4分間給水し、40cmになったところで給水を止め、空になるまで毎分 $b$ cmずつ減るように4分間排水する。

ということで、まず「水の深さが40cmになるまで毎分 $a$ cmずつ増えるように4分間給水し」という部分を解決しましょう。水そうAにはすでに20cmの深さまで水があるので、「毎分 $a$ cmずつ増えるように4分間給水」ということは【4分間で20cmの深さ分給水した】ということになります。こうした言い換えを1つ1つ丁寧にやっていきましょう。つまり、毎分5cmずつ増えるように給水しているので、$a=5$ がここで分かります。

次に、「空になるまで毎分 $b$ cmずつ減るように4分間排水する」の部分を解決しましょう。これも【4分間で40cm減るように排水する】ということなので、毎分10cmずつ減るように排水することになります。つまり、$b=10$ となります。

水そうBについて
水の深さが毎分 $\displaystyle \frac{4}{3}$ cmずつ増えるように給水をし、6分後に、水の深さが毎分8cmずつ増えるように給水量を変える。40cmになったら止める。

こちらも、1つずつ考えましょう。「毎分 $\displaystyle \frac{4}{3}$ cmずつ増えるように給水をし、6分後に」とあるので、【毎分 $\displaystyle \frac{4}{3}$ cmずつ6分間給水した】ということです。6分後には、水の深さは $\displaystyle \frac{4}{3}\times 6=8$ cmとなっています。

次に、ここから毎分8cmずつ増えるように給水をします。40cmまで残り32cmあるので、4分で給水が終わります。つまり、最初から $6+4=10$ 分で給水が終わることになります。
塾長
問題を読みながらここまで整理しておきましょう。これで、大半のことは終わっているはずです。いきなり(1)に飛びつこうとしないように!

さて、(1)はすでに解決しています。$a=5$、$b=10$ です。
(2)は水そうBの時間と水の深さの関係を、グラフに書き込んでいきます。まず、最初は空なので原点からスタートします。そこから、6分後に深さ8cmとなるところまで一定の割合で水を入れるので、直線で結びます。さらに、10分後に深さ40cmとなるところまでを直線で結びます。縦軸の目盛の読み取りに気をつけてください。

図の赤線のようなグラフが描けていればOKです。
(3)は2つの水そうの水の深さが等しくなるときの時間を求める問題です。これは、上のグラフの黒線と赤線の交わる点の $x$ 座標を求めることに等しいですね。それぞれのグラフを考えます。

必要な部分だけ残したグラフが上図になります。黒線のグラフは、2点 $(4,\ 40)$、$(8,\ 0)$ を通る直線なので $y=-10x+80$ となります。また、赤線のグラフは2点 $(6,\ 8)$、$(10,\ 40)$ を通る直線なので、$y=8x-40$ となります。

塾長
このくらいは暗算で求めてください。$y=mx+n$ のようにおいて座標を代入して連立方程式を解いて・・・みたいな方法も間違いではないのですが、グラフについての理解が足りていないと言わざるを得ないです。

結局、連立方程式

$$\begin{cases}y=-10x+80\\y=8x-40\end{cases}$$

の解($x$のみ)を求めることと同じです。これを解けば、$\displaystyle x=\frac{20}{3}$ となります。$\displaystyle\frac{20}{3}=6+\frac{2}{3}$ なので、答えは6分40秒後です。

大問4

内容 方程式

難易度 

大問4はお決まりの方程式の問題でした。大問3が長文だった分シンプルになっており、解けた人が多かったのではないかと思います。

Aさんと兄が登場するので、それぞれの動きを整理していきましょう。

Aさんは毎分 $x$ mの速さで学校へ向かいます。Aさんはこれだけです。

兄は、Aさんが家を出た12分後にAさんよりも毎分 $y$ m速い速さでAさんを追いかけます(つまり兄は毎分 $x+y$ mの速さ)。そして兄が家を出てから8分後に(つまりAさんが出てから $12+8=20$ 分後に)追いつきます。帰りは行きよりも毎分70m遅い速さで(つまり毎分 $x+y-70$ m)で家に戻ったところ、15分かかったということです。

塾長
途中で忘れ物だの疲れただのとノイズが入りますが、不要なものはすべて排除するようにしましょう。疲れた? 知らんがな!

まずは、追いつくまでの話を考えましょう。兄は毎分 $x+y$ mの速さで8分かけて弟に追いつきます。このとき、弟は毎分 $x$ mの速さで20分すすんだことになります。つまり

$$8(x+y)=20x$$

となります。

次に、帰りのことを考えましょう。毎分 $x+y-70$ mで15分かけて同じ道のり($20x$ を使う方が簡単ですかね)を帰ることになります。つまり

$$15(x+y-70)=20x$$

となります。あとは、それぞれ簡単にして

$$\begin{cases}2(x+y)=5x\\3(x+y-70)=4x\end{cases}$$

を解けばOKです。$x=60$、$y=90$ となります。

大問5

内容 作図

難易度 

昨年度まで、作図の問題は手の込んだ問題が多かったのですが、今年度はずっとシンプルな問題が続いています。今回も基本の作図をそのまま用いて終了するタイプでした。

与えられた条件は以下でした。

  • 点Pは、頂点B、Cから等しい距離にある。
  • 点Pは、変AB、BCから等しい距離にある。

作図の問題であってもベースは図形の問題なので、すぐに作図方法を考えるのではなく、図形的な性質などをよく考えるようにしましょう。

2点B、Cからの距離が等しい点の集合はBCの垂直二等分線となります。また、2直線AB、BCからの距離が等しい点の集合は $\angle\mathrm{ABC}$ の二等分線となります。作図の前に、こうした知識を整理しておくことが大切です。

実際にこれら日本の直線を作図すると以下のようになります。それぞれの交点が求める点Pとなります。

 

大問6(復習おすすめNo.1)

内容 平面図形

難易度 標準

大問6は平面図形の問題でした。(1)、(2)は平易な問題ですが、(3)が難しく感じた人も多かったと思います。図形が得意な人は、(3)まで一気に解き切れたかもしれません。

塾長
個人的に今回の模試の中ではいちばん面白い問題だったと思います。

まずは、下図のような図が与えられます。

最初に与えられている条件は、$\angle\mathrm{A}$ が鋭角、$\mathrm{AB=AC}$、$\mathrm{D}$ は $\mathrm{BC}$ 上にあり $\mathrm{B}$ とも $\mathrm{C}$ とも一致しない、$\mathrm{AD=AE}$ です。あとは図の通りです。

(1)は、さらに $\mathrm{AF=EF}$、$\angle\mathrm{AEF}=40^\circ$、$\angle\mathrm{CAD}=22^\circ$ が与えられたときの、$\angle\mathrm{ABD}$ の大きさを求める問題です。条件を書き込んでいくと下図のようになります。

2つの二等辺三角形 $\triangle\mathrm{ABD}$ と $\triangle\mathrm{AFE}$ に気づくことがポイントになります。$\triangle\mathrm{AFE}$ において、$\angle\mathrm{FEA}=\angle\mathrm{FAE}=40^\circ$ であり、対頂角も等しいため $\angle\mathrm{BAD}=40^\circ$ となります。

次に $\triangle\mathrm{ABD}$ において、頂角が $40^\circ+22^\circ=62^\circ$ と分かるため求める角は

$$\angle\mathrm{ABD}=\frac{180^\circ-62^\circ}{2}=59^\circ$$

となります。

塾長
条件をチェックしながら図を描き直してみると、いろいろと気づくのではないかと思います。

(2)は条件が変わり、$\mathrm{BC//EF}$ となります。このとき、$\triangle\mathrm{ABD}\equiv \triangle\mathrm{AFE}$ を証明する問題です。$\mathrm{BC//EF}$ からは錯角か同位角が狙えそうなのでチェックしてみます。他の条件とも合わせて考えると、下図のような状況が見えてきます。

仮定から、$\mathrm{AD=AE}$ であり、対頂角は等しいので $\angle\mathrm{BAD}=\angle\mathrm{FAE}$、そして $\mathrm{BC//EF}$ から $\angle\mathrm{ADB}=\angle\mathrm{AEF}$ となることから、$\triangle\mathrm{ABD}\equiv \triangle\mathrm{AFE}$ が証明できます。

そして、お楽しみの(3)です。(2)の設定に加えて、$\mathrm{BD=CD}$、$\mathrm{AG\perp BF}$、$\mathrm{AD=6}$、$\mathrm{FG=13}$(単位は省略します)が与えられます。求めるものは四角形EDGFの面積です。

色付きの部分は台形となります。これは、$\mathrm{BC//EF}$ であり、$\mathrm{BD=CD}$ と $\mathrm{AB=AC}$ から $\mathrm{BC\perp DA}$ となることから言えます。さて、この台形の面積を考えようと思うのですが、$\mathrm{AD=6}$、$\mathrm{FG=13}$ では求められません。分かるとしても、$\mathrm{AD=AE}$ があることから、$\mathrm{DE=12}$ くらいでしょう。ここで止まってしまった人もいたかもしれません。

しかし、$\mathrm{FG=13}$ の使い道がよく分かりません。図を見ていると何となく $\mathrm{BG=13}$ っぽいなあと予想できるのではないでしょうか。ここがとても大事なポイントです。

実際に、(2)から $\triangle\mathrm{ABD}\equiv \triangle\mathrm{AFE}$ なので、$\mathrm{AB=AF}$ であり、また $\mathrm{AG\perp BF}$ であることから $\triangle\mathrm{BFG}$ は $\mathrm{BG=FG}$ の二等辺三角形となります。これでいけそうな感じがするのですが、やはり、台形の面積を求めるのは難しいです。

ここで、今見た $\triangle\mathrm{ABD}\equiv \triangle\mathrm{AFE}$ を考えます。

この色付きの部分は合同なので、当然面積も等しくなります。そこで、台形EDGFから $\triangle\mathrm{AFE}$ を取り払って $\triangle\mathrm{ABD}$ に移します。そうすると

このように結局は二等辺三角形 $\triangle\mathrm{BFG}$ の面積を求めれば良いことになります。底辺を $BG=13$ とみると、高さは $\mathrm{DE}=12$ と等しくなるので、

$$\frac{1}{2}\times 13\times 12=78$$

となります。

塾長
合同な図形を用いて、求める図形と同じ面積の別の図形を考えるという問題でした。なかなかよく作られている問題なので、しっかりと復習をやっておくといいでしょう。そして、大事なことは図を観察しながら「ここが同じになりそう」などといった予想を立てることです。こうした当たりがつけられるようになると、図形の問題がグッと楽になります。

大問7(復習オススメNo.3)

内容 空間図形

難易度 標準

最後は空間図形の問題でした。(1)、(2)は平易な問題でしたが、(3)は空間図形らしい問題で苦戦した人が多かったのではないかと思います。

与えられているのは正四角錐O-ABCDです。正四角錐なので、底面ABCDは正方形4つの側面は合同な二等辺三角形となります。つまり、$\mathrm{OA=OB=OC=OD}$、$\mathrm{AB=BC=CD=DA}$ が常に成り立つことを意識しておきましょう。

(1)は空間お決まりのねじれの位置です。これは、解説不要でしょう。DCとBCの2つです。

(2)は新たに条件が追加されます。

ABの中点M、CDの中点Nが追加されます。そして、AB=6(単位は省略します)、$\angle\mathrm{MON}=60^\circ$ のときの正四角錐O-ABCDの表面積を求める問題です。

底面の正方形の面積はすぐに $6\times 6=36$ と求まります。側面の二等辺三角形の面積を求めるには、OM(当然ですが底辺ABの垂直二等分線となっています)の長さが必要になります。

そこで $\triangle\mathrm{OMN}$ を抜き出してみます。$\angle\mathrm{MON}=60^\circ$ と $\mathrm{OM=ON}$(側面はすべて合同な三角形となることから分かります) となることを考えると、$\triangle\mathrm{OMN}$ は正三角形となります。したがって、$\mathrm{OM=6}$ となります。

ということで、側面の1つである $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積は $\displaystyle \frac{1}{2}\times 6\times 6$ であり、これが4面あることから

$$4\times \frac{1}{2}\times 6\times 6=72$$

底面と合わせて、$36+72=108$ となります。

最後は(3)の体積の問題です。正方形の対角線の交点をP、PからOCに引いた垂線の足をQとするという設定が加わります。また、$\mathrm{OA=AB}$ であるとき、四角錐B-OAPQの体積が正四角錐O-ABCDの何倍になるかを考える問題です。

まずは図を描いてよく観察してみましょう。四角錐B-OAPQというヘンテコな形の錐体を考えるのは現実的ではありません。とくに底面のOAPQが半端な感じがして嫌です。そこで、もう少し整った形であるB-OACという三角錐から考えていきましょう。三角錐B-OACは、求める四角錐B-OAPQと底面積が異なるだけで高さは等しくなることもうれしいところです。底面積の比がわかればそのまま体積比として用いることができます。

というわけで、三角錐B-OACを取り出してきました。考えたいのは底面積 $\triangle\mathrm{OAC}$ ですが、$\mathrm{OA=AB}$ であること以外に手掛かりがなさそうに思えます。しかし、$\mathrm{OA=OB=OC=OD}$、$\mathrm{AB=BC=CD=DA}$ が常に成り立つことから、

$$\mathrm{OA=AB=BC=OC}$$

となります。さらに、$\mathrm{AC}$ を考えると $\triangle\mathrm{OAC}\equiv \triangle\mathrm{BAC}$ となります(3辺がそれぞれ等しい)。$\triangle\mathrm{BAC}$ は正方形の半分なので

こんな感じの直角二等辺三角形となります。これと同じ形になるので $\triangle\mathrm{OAC}$ も直角二等辺三角形です。

ここにPとQを入れてみましょう。

こんな感じです。対称性を考えると、$\triangle\mathrm{OPA}\equiv \triangle\mathrm{OPC}$、$\triangle\mathrm{PQO}\equiv \triangle\mathrm{PQC}$ もすぐに分かるでしょう。そうすると、四角錐B-OAPQの底面である四角形OAOQは $\triangle\mathrm{OAC}$ の面積の $\displaystyle \frac{3}{4}$ だと分かります。したがって、四角錐B-OAPQの体積も三角錐B-OACの $\displaystyle \frac{3}{4}$ です。さらに、三角錐B-OACは正四角錐O-ABCDの半分なので、結局、四角錐B-OAPQの体積は正四角錐O-ABCDの体積の

$$\frac{1}{2}\times \frac{3}{4}=\frac{3}{8}$$

となります。

塾長
(3)はなかなか骨のある問題でした。このくらいの問題をじっくりと取り組んでみると、実力アップにつながるでしょう。良い問題は試験の中だけで終わらせず、時間をかけてじっくり考えながら復習をやりましょう!

まとめ

というわけで、今回の数学は前半の関数、後半の図形の(3)が少々難しめの問題で、あとは易しめの問題でした。私も時間を測って解いてみましたが、20分程度で解けました。難しい回は30分以上かかることもあるので、計算量を含め、かなり軽いテストだったように思います。

しかし、近年の数学の学力低下傾向を考えると、そこまで高い平均点にはならないのではないかと思います。

得点や判定を気にする人もいるでしょうが、この時期の学力はまだまだ未完成状態です。合否は3月の入試本番の出来で決まるので、そこまでに確実に力をつけるような勉強をやってください。毎回、模試のための対策で終わってしまわないように気をつけましょう。

なお、上位校を狙っている人は難しめの問題の出来を確認しておきましょう。上位校志望でない人は、易しめの問題の問題でいかにミスをなくすかということをチェックしておくといいと思います。

そして、11月には第1回金沢市統一テスト(各地域の統一テストも同時期)が実施されます。総合模試とはまた少し違った雰囲気の問題になりますが、実力があれば特段の対策をしなくても得点できます。まずは、総合模試の復習をしっかりとやっておくと良いでしょう。金沢市統一テストの解説記事は以下となります。よろしければ参考にしてください。昨年の第1回は少しアレだったので、それ以前の問題がおすすめです。過去問をもらったという人は、挑戦してみてください。

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