2021第4回石川県総合模試の数学を解いてみた

塾長
2021年度の石川県総合模試も第4回となりました。第1回金沢市統一テストも近づいてきて、受験勉強も本格化してきているのではないかと思います。今回の数学はなかなか面白い問題が多かったので、解いてみたシリーズやってみます!復習の際に参考にしてください。

というわけで、今回は第4回石川県総合模試の数学について振り返ってみたいと思います。

前回の模試は解説したくなるような面白い問題がなかったのと、多忙だったこともあってパスしましたが、今回は歯応えのある問題もあったのでちゃんと解説記事を作りました!

復習の際にでも活用してもらえればと思います。また、金沢市(およびその他近隣の地域)の第1回統一テストも近づいているので、しっかりと復習をやっておけば統一テストの準備にもなるかと思います。少し傾向は違いますが。

概観

大問数7、小問数23という総合模試の標準的なセットでした。ここは大きく変わることはないでしょう。

総合模試の特徴は50分という試験時間内にすべて問題を解くのが厳しいということです。そのため、試験本番では問題の取捨選択であったり、どのくらいまで考えるかという時間の設定などが重要となります。これは石川県の公立高校入試でも同様であるため、模試でしっかりと準備をしておくことが大切です。

また、計算の過程や証明などを記述する問題が含まれており、単に答えを出すだけでは得点に結びつかない問題が多いのも特徴です。日頃から答えを出すだけではなく、答えを求める過程を説明する(記述する)練習に取り組んでおくことが大切です。

出題分野については、前半は方程式や関数などの代数分野、後半が作図・平面図形・空間図形という幾何分野となっており、全分野からバランスよく出題されています。難問・奇問の類はほとんどありません。入試標準レベルの良い問題が揃っているので、復習を徹底すれば相応の実力アップが期待できます。できれば受験当日のうちに復習をやるのが理想です。少なくとも1週間以内には復習をやってしまいましょう!

今回は関数・作図・空間図形が難しめの問題だったので、全体としてはやや難といったところでしょう。前回より易しめでしたが、前回の平均点が41.9点とかなり低かったので、今回もそこまで高くはならないかもしれません。

全体的な難易度 やや難

各問題の概要

ここからは大問ごとの内容を細かく見ていきます。面白い問題や難しめの問題には詳しく解説をつけておきます。

大問1

内容 小問集合

難易度 

大問1は満点を狙いたいです。基本的な計算ができるかどうか、知識項目が正確に覚えられているかどうかがポイントとなります。大問1で得点できていない人は、まず教科書に戻って基本的な計算ルールや定義などを確認することから始めてください。焦って問題集に取り組んでもあまり効果はありません。

(1)の計算問題では「計算ミス」が命取りとなります。計算ミスの主な原因としては、計算規則が曖昧である、途中式の転記ミス、単純な計算のミスなどが考えられます。それぞれで対策は変わってくるので、計算ミスが多い人は、まず自分のミスの原因をよく考えてみましょう。

塾長
計算ミスをしないためには計算をいかにしないかが大切となります。やたらと途中式を書く人もいますが、それよりも暗算力を高めたり計算の工夫を考える方が良いでしょう。

例えば、エの $\displaystyle \frac{3x+2y}{5}-\frac{4y-x}{10}$ という計算ですが

$$\frac{2(3x+2y)-(4y-x)}{10}$$

のように通分して計算した人が多いと思いますが、$\displaystyle \frac{3x}{5}+\frac{2y}{5}-\frac{4y}{10}+\frac{x}{10}$ という見方ができれば、暗算で $y$ の項は消えることが分かります。あとは、$\displaystyle \frac{3x}{5}+\frac{x}{10}=\frac{7x}{10}$ と暗算で計算できるでしょう。思考停止で通分してしまっていないか確認して欲しいところです。

(2)については、答えは簡単に求まると思いますが、「方程式」「方程式の解」「方程式を解く」といった言葉の定義をしつこく確認しておきたいですね。とくに中学生の場合、方程式を解く手順ばかりが強調されてしまっているので要注意です。なお、この問題は因数分解を利用して解いた人が多いと思いますが、因数分解以外の解き方もいくつか考えてやってみて欲しいと思います。

(3)は「 $y$ が $x$ に反比例し $x=6$ のとき $y=-3$ である。$y=-9$ のときの $x$ の値を求めよ。」という問題です。この手の問題では、$\displaystyle y=\frac{a}{x}$ とおいて、$x=6$、$y=-3$ を代入して $a=-18$ を求め、  $\displaystyle y=-\frac{18}{x}$ として $y=-9$ を代入して $x=2$ を求めるというのがよくある方法です。模範解答も同じ考え方です。これでも問題はありませんが、計算が面倒ですし、反比例という関係をうまく活用できていないように思います。ここでは反比例なので $x=6$ のとき $y=-3$ なら $y=-9$ のとき $x=2$ と計算せずに求めたいところです。$y$ が3倍になっているので $x$ は $\displaystyle \frac{1}{3}$ 倍となります。柔軟に考えたいところです。

(4)は角度の問題なので与えられた条件を角度の条件にすり替えられないか考えます。

$\mathrm{EA=EC}$ から $\angle\mathrm{EAC}=\angle\mathrm{ECA}=39^\circ$ となることが分かればOKです。また、$\angle\mathrm{ECD}=43^\circ$ が分かっているので

$$\angle\mathrm{ACD}=\angle\mathrm{ECA}+\angle\mathrm{ECD}=39^\circ+43^\circ=82^\circ$$

四角形 $\mathrm{ABCD}$ は平行四辺形なので $\angle\mathrm{ACD}=x$ となるので、$x=82^\circ$ となります。

(5)はとくに解説はいらないでしょう。40人中、該当する生徒が何人か数えたら計算しておしまいです。

塾長
さて、大問1はどのくらいの出来だったでしょうか。これといって難しい問題はありませんが、ミスが目立つ人もいるでしょう。ミスの原因は何でしょうか。そして、ミスを回避するための具体的な方法は何でしょうか。そのあたりを考えてみてください。

大問2(復習おすすめNo.3)

内容 確率

難易度 標準

大問2は確率でした。操作がやや煩雑なため、問題の設定が正しく読み取ることが大切です。すぐに「計算はどうすればいいか」などと考える人がいますが、落ち着いてくださいね。計算は必要になったら考えましょう。

では、今回の問題の設定です。

  • 1から6の数字が1つずつ書かれた6枚のカードがある
  • 大小2つのサイコロ(1〜6の目が書かれている)を同時に投げる
  • 数大きいサイコロの出た目の数を $a$、小さいサイコロの出た目の数を $b$

さらに、次の操作を行います。

【操作1】$a$ が書かれたカードを裏返す
【操作2】$b$ の約数が書かれたカードを裏返す。ただし、操作1ですでに $b$ の約数が書かれたカードが裏返されている場合は、そのカードは表に戻す

面倒くさいですが、苦手な人はこうした設定を自分の手で整理しながら書き出してみるといいでしょう。

(1)はこの設定の理解を問われる問題です。これが具体例にもなるので、設定を確認しながら考えましょう。

$a=1$、$b=6$ のときに表になっているカードに書かれた数の和を求めよということなので、まずは、【操作1】の結果を考えます。1が裏返されるので下図のようになります。

23456

次に、6の約数(1、2、3、6)を裏返します。このとき、すでに裏返っている1は6の約数なので表に戻します。そうすると下図のようになります。

145

したがって、$1+4+5=10$ となります。

(2)は、「操作1と操作2を終えた後に5と書かれたカードが裏返っている確率を求めよ」という問題です。

ここでも、すぐに「どういう計算になるか」などと考えないように注意しましょう。まず、操作2を終えた後に5が裏返っている場合はどんな場合かを考えます。

操作1によって「5が出る」「5が出ない」2つの場合に分かれます。

操作1で5が出た場合は以下のようになります。

12346

操作2で5が表に戻らなければいいので、5を約数に持たない、1、2、3、4、6のいずれかが出ればよいことになります。すなわち

$$(a,\ b)=(5,\ 1),\ (5,\ 2),\ (5,\ 3),\ (5,\ 4),\ (5,\ 6)$$

の5通りがあることが分かります。

次に操作1で5が出なかった場合(5以外が出た場合)を考えます。ここでは、仮に $a=3$ だったとします。すると、操作1のあとは以下のようになります。

12456

この場合、操作2で5を約数にもつ目、つまり5が出れば5が裏返ることが分かります。$a$ が $1$、$2$、$4$、$6$ の場合も同様です。したがって

$$(a,\ b)=(1,\ 5),\ (2,\ 5),\ (3,\ 5),\ (4,\ 5),\ (6,\ 5)$$

の5通りです。

以上から、操作2を終えた後に5と書かれたカードが裏返っている場合は全部で10通りであることが分かりました。$(a,\ b)$ の組は全部で36通りあるので、求める確率は

$$\frac{10}{36}=\frac{5}{18}$$

となります。

塾長
確率の問題の基本は書き出して数えるということです。とくに、高校入試の場合はあまり大きな数が出てくることはないので、困ったら全パターンを書き出して考えてみることが大切です。

大問3(復習おすすめNo.1)

内容 関数

難易度 やや難

大問3は関数の問題でした。グラフ(ダイヤグラム)を中心に考える問題ですが、少し難しく感じた人もいたでしょう。ここでも、まずは設定を確認することが大切です。

AさんP地を出発してQ地まで1.6km走ったあと4分休むことを繰り返す。ただし、走る速さはつねに同じ速さであるものとする。
BさんQ地を出発してP地まで、一定の速さで走り続ける。
CさんP地を出発してQ地まで、一定の速さで走り続ける。

そして、AさんがP地を出発してからの時間とAさんが進んだ道のりの関係を表したグラフが以下のように与えられています。

(1)はAさんの走る速さを求める問題です。横軸が時間、縦軸が距離となっているので、グラフの傾きが速度(km/分)になります。Aさんの場合は、途中で休憩時間が入るのが厄介なので休憩せずに走ってもらうことにしましょう。そうすると一定の速さで走るので以下の点線のグラフのようになります。

そうすると、20分で4km(=4000m)進むことが分かるので、求める速さは200m/分となります。

(2)もしっかりと設定を把握することが大切です。BさんはAさんがP地を出発するのと同時にQ地を出発します。そして、P地から2kmの地点でAさんと出会います。グラフから、出会う地点が $(14,\ 2)$ のところになることが分かります。したがって、$(0,\ 4)$ と $(14,\ 2)$ を結ぶとBさんの様子が見えてきます。

求めるものは、BさんがQ地を出発してから $x$ 分後の地点からP地までの道のりを $y$ としたときの $x$ と $y$ の関係式です。これは、グラフが表しているものを考えれば、Bさんの様子を表している直線の式を求めることと同じです。つまり、$(0,\ 4)$ と $(14,\ 2)$ を通る直線の式を求めればOKです。これはすぐに $\displaystyle y=-\frac{4}{28}+4$ すなわち、$\displaystyle y=-\frac{1}{7}+4$ と求められるでしょう。

$y=ax+b$ として $(0,\ 4)$ と $(14,\ 2)$ を代入して・・・などという面倒な計算をしないように気をつけてください。

(3)は少々難解です。CさんはAさんより先に出発しますが、Q地に到着するのは同時です。そのため、どちらも $(28,\ 4)$ の点を通ることになります。さらに、AさんがP地からQ地に進む間にCさんと並ぶ瞬間が3回あったということなので、これはAさんのグラフとCさんのグラフの共有点が3つ出てくるということです。ただし、 $(28,\ 4)$ は含みません。

これをどうやって考えるかということになるわけですが、確認しておきたいことは、Cさんのグラフは $(28,\ 4)$ を通るということ。そして、直線になるということです。また、$x=0$ のとき、CさんのグラフはAさんのグラフより上になくてはいけません(先に出発しているので)。そこで、 $(28,\ 4)$ を通る直線をいろいろと書いてみながら、実際に共有点が3つ出てくるような場合を探していきます。

たとえば、このような直線を書いてみると、共有点が4つ出てきてしまうので不適となります。ちょっとずつ動かしてみると、下図のような直線の場合にちょうど共有点が3つになります。

したがって、Cさんのグラフは $(28,\ 4)$ と $(8,\ 1.6)$ を通る直線となります。この1.6は(1)で求めたAさんの速さを利用して求めます。ただし、単位に注意してください。求めるのはCさんの速さなので、直線の式を求める必要はなく、傾きを求めるだけで十分です。ここでも単位に注意して

$$\frac{4000-1600}{20}=120$$

より、毎分120mとなることが分かります。

塾長
関数の問題でも計算に頼りすぎる人が多いのですが、この問題はグラフを利用しないとなかなか簡単には解けない問題です。指導していてもグラフをかかない人が多いのですが、目で見て確認できるというのはとてもありがたいことなんです。積極的にグラフを活用するようにして欲しいですね。

大問4

内容 方程式

難易度 

方程式の問題は代わり映えしない問題で、少々ネタ切れの感じがしますね。今回も非常にオーソドックスな問題でした。

年度全校生徒数(人)前年度との比較
2019400
2020全体で5%増加した。
2021425男子が8%増加、女子が5%減少した。

この表を元にして、2020年度の男子と女子の生徒数を求める問題です。

まず、2020年度の全校生徒数は、400人から5%増加しているので

$$400\times 1.05=420$$

となります。したがって、2020年度の男子を $x$ 人とすると、女子は $420-x$ 人となります。

2021年度は男子が8%増加し、女子が5%減少するので

$$1.08x+0.95(420-x)=425$$

となります。これを解けば、$x=200$ となります。したがって、男子は200人、女子は220人となります。

塾長
とくに解説することはありません。ちなみに、模範解答は頑なに連立方程式にしたがるのですが、あまり連立にする意味もないので1次方程式として解いてしまいましょう。

大問5

内容 作図

難易度 

今回の作図の問題は、あまり馴染みのない問題だったので難しく感じた人も多かったと思います。いつも言っているのですが、作図の問題のベースは平面幾何の問題なので、まずは幾何の知識を活用して「点Pがどこにあれば良いか」を考えることが大切です。Pの位置が予想できれば、あとはそれをどうやって作図していくのかを考えましょう。

今回のポイントは台形の面積を二等分するというところです。台形の面積については

(上定+下底)×高さ×1/2

のように呪文として覚えている人が多いのですが、これが何を表しているかよく分かっていないという人もたくさんいます。この公式の意味するところをちゃんと確認しておきましょう。

1つは「2つの三角形に分割して考える」というもので、たとえば上図のように $\triangle\mathrm{ADB}$ と $\triangle\mathrm{CBD}$ に分割します。このとき、それぞれの面積は

$$\triangle\mathrm{ADB}=\frac{1}{2}\times \mathrm{AB}\times \mathrm{DH}$$

$$\triangle\mathrm{CBD}=\frac{1}{2}\times \mathrm{CD}\times \mathrm{DH}$$

したがって、この2つの三角形の面積を足すと

\begin{align*}
&\frac{1}{2}\times \mathrm{AB}\times \mathrm{DH}+\frac{1}{2}\times \mathrm{CD}\times \mathrm{DH}\\
=&\frac{1}{2}\times (\mathrm{AB+CD})\times \mathrm{DH}
\end{align*}

となり、公式と同じものが得られることが分かります。

また、台形を2つ重ねて平行四辺形を作って半分に割るという考え方もできます。

これは自分で確認してみてください。って見たら分かりますね。このとき大切なことは、台形 $\mathrm{ABCD}$ の面積は、上図の $\triangle\mathrm{AEF}$ の面積と同じであるということです。 さらに、$\triangle\mathrm{AEF}$ と $\triangle\mathrm{AED}$ は底辺と高さが等しいため同じ面積になります。ここまでを理解できれば、あとは解けたも同然ですね。

では、今回の問題に戻りましょう。公式の成り立ちから台形の面積を半分にするためにはどうすればいいでしょうか?

公式の意味が理解できていれば $\triangle\mathrm{AED}$ の面積を半分にする、すなわち $\mathrm{AE}$ の中点 $\mathrm{P}$ を作図すればよいということが分かるでしょう。

これは $\mathrm{CD}$ の長さをコンパスでとって、$\mathrm{B}$ から $\mathrm{AB}$ の延長線上に移します。あとは、その点とAとの垂直二等分線を描き、$\mathrm{AB}$ との交点を求めればそれが求める点 $\mathrm{P}$ となります。

塾長
単に公式を覚えているだけで理解したと思い込んではいけません。最近の中高生はこういう部分が非常に疎かになっているので、入試までにきちんと確認しておきたいですね。

大問6

内容 平面図形

難易度 標準

今回の平面図形の問題は比較的易しめの問題でした。$\triangle\mathrm{ABC}$ と $\triangle\mathrm{APQ}$ という2つの直角二等辺三角形をうまく利用していきましょう。

(1)は $\angle\mathrm{BAP}=64^\circ$ のときの $\angle\mathrm{PRC}$ の大きさを求める問題です。

ここでは、$\angle\mathrm{BAC}=\angle\mathrm{PAQ}=90^\circ$ であることから、$\angle\mathrm{ABC}$、$\angle\mathrm{ACB}$、$\angle\mathrm{APQ}$、$\angle\mathrm{AQP}$ がすべて $45^\circ$ となります。まずは、ここを確認しておきましょう。

求めるのは $\angle\mathrm{PRC}$ の大きさなので、とりあえず $\triangle\mathrm{PRC}$ に着目してみましょう。$\angle\mathrm{ACB}$ すなわち $\angle\mathrm{RCP}$ は $45^\circ$ ということが分かっているので、$\angle\mathrm{CPR}$ が分かればOKですね。

ここで、図を見ながら $\angle\mathrm{APC}$ がクサいなと感じられるとバッチリです。$\angle\mathrm{APC}$ は $\triangle\mathrm{ABP}$ の外角となるので、

$$\angle\mathrm{PBA}+\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{APC}$$

となります。さらに $\angle\mathrm{APC}=\angle\mathrm{APQ}+\angle\mathrm{CPR}$ であるので上の式は

$$45^\circ+64^\circ=45^\circ+\angle\mathrm{CPR}$$

と表せます。したがって、$\angle\mathrm{CPR}=64^\circ$ であることが分かります。あとは、$\triangle\mathrm{PRC}$ の内角の和を考えて

$$\angle\mathrm{PRC}=180^\circ-(64^\circ+45^\circ)=71^\circ$$

となります。

(2)は $\triangle\mathrm{ABP}\equiv \triangle\mathrm{ACQ}$ の合同の証明です。分かっている条件を確認しながら、どこを狙うのか考えましょう。$\mathrm{AB=AC}$ と $\mathrm{AP=AQ}$ はすぐに分かると思うので、その間の角が等しくなることを示すことを考えましょう。

これは、$90^\circ$ を利用すれば簡単です。

$$\angle\mathrm{BAP}=90^\circ-\angle\mathrm{PAC}$$

$$\angle\mathrm{CAQ}=90^\circ-\angle\mathrm{PAC}$$

となるため、$\angle\mathrm{BAP}=\angle\mathrm{CAQ}$ です。これで示せました。

(3)は(2)の設定を引き継ぎつつ(証明した合同が使えます!)、$\mathrm{BC}$ の中点 $\mathrm{M}$ が設定され、さらに $\mathrm{BP=8cm}$、$\mathrm{PC=4cm}$ が与えられます。このときの四角形AMPQの面積を求める問題です。

少し長さの部分を変えていますが、上図のようになることが分かります。このとき、$\triangle\mathrm{AMB}$ が直角二等辺三角形となり、$\mathrm{AM=6cm}$ であること、また(2)で示した合同から $\mathrm{BP=QC=8cm}$ となることを確認しておきましょう。また、$\angle\mathrm{QCB}=45^\circ+45^\circ=90^\circ$ となることも確認しておきましょう。

これによって、四角形 $\mathrm{AMCQ}$ が台形であることが分かります。面積も求められますね。

$$\frac{1}{2}\times \mathrm{(AM+QC)\times MC}=\frac{1}{2}\times (6+8)\times 6=42$$

この値から、$\triangle\mathrm{QPC}$ の面積を引けば求める四角形 $\mathrm{AMCQ}$ の面積となります。

$$42-\frac{1}{2}\times 4\times 8=42-16=26$$

したがって、求める面積は $26\mathrm{cm^2}$ となります。

塾長
与えられた条件をきちんと図に書き込んで確認していけば、ある程度の見当がつく問題でした。上位校を狙うのであれば、このレベル問題は完答できるように準備しておきたいですね!

大問7(復習おすすめNo.2)

内容 空間図形

難易度 やや難

最後は空間図形の問題でした。空間図形の問題は見た目がどうしても難しく見えてしまうことと、時間の問題から後回しにされやすいこともあり、いわゆる「捨て問」扱いされてしまうことが多いのですが、時間があるときにきちんと取り組んでおいてもらいたい分野の1つです。平面も空間も、初等幾何をじっくりと勉強できるのは中学校の期間しかありません。幾何の問題に苦手意識を持ったまま高校数学に突入すると、苦戦することが多いので要注意です。

(1)は問題なくできたという人が多いでしょう。特に解説も必要ないでしょう。

(2)については、条件の整理が大切です。与えられた図を見て、「こんな変な図形は無理だな」などと諦めてしまった人はもったいないです。問題文を読めば三角柱の体積を求める問題(簡単です!)なので、図を描き直して考えてみましょう。

問題では上のような図が与えられていますが、条件として $\mathrm{AP=FQ}$ となるようにとり、さらに $\mathrm{PQ}//\mathrm{AD}$ となることから、$\mathrm{P}$、$\mathrm{Q}$ はそれぞれ $\mathrm{AC}$、$\mathrm{DF}$ の中点となることが分かります。したがって、下図のようになります。

このときの三角柱 $\mathrm{ABP-DEQ}$ の体積は、$\triangle\mathrm{DEQ}$ を底面積、$\mathrm{AD}$ を高さと見て考えましょう。

\begin{align*}
\triangle\mathrm{DEQ}&=\mathrm{\frac{1}{2}\times DE\times DQ}\\
&=\frac{1}{2}\times 4\times 4=8
\end{align*}

となるので、求める体積は $8\times 4=32\ (\mathrm{cm}^2)$ となります。

(3)は難しかったという人が多かったのではないかと思います。まず、$\mathrm{ABP}$、$\mathrm{BQP}$、$\mathrm{BEQ}$、$\mathrm{DEQ}$、$\mathrm{ABED}$、$\mathrm{ADQP}$ で囲まれた図形を描いてみましょう。

こんな感じのよく分からない立体となります。このままでは体積は求められないので、適当な2つの立体に分割することを考えましょう。これは、いろいろと分割してみましょう。最初から上手くいくわけないので、いろいろと結んでみるといい具合に分割できるところが見つかるはずです。上の図ではすでにいい具合の $\mathrm{AQ}$ が引かれています(笑)

これによって、四角錐 $\mathrm{Q-ABED}$ と三角錐 $\mathrm{Q-ABP}$ に分割されます。あとは、$\mathrm{AP}=x$ として面積を考えましょう。求めておく長さは、$\mathrm{DQ}=8-x$ くらいです。あとは与えられたものが使えます。

まず、四角錐 $\mathrm{Q-ABED}$ の体積は正方形 $\mathrm{ABED}$ を底面、$\mathrm{DQ}$ を高さと見て

$$\frac{1}{3}\times 4\times 4\times (8-x)=\frac{128-16x}{3}$$

となります。

また、三角錐 $\mathrm{Q-ABP}$ は $\triangle\mathrm{ABP}$ を底面、高さについては $\mathrm{AD}$ を用いて

$$\left(\frac{1}{2}\times 4\times x\right)\times 4\times \frac{1}{3}=\frac{8x}{3}$$

となります。したがって、これらの和が $36$ となればよいので

$$\frac{128-16x}{3}+\frac{8x}{3}=36$$

これを解けば $x=\frac{5}{2}$ となります。

塾長
やはりここでも図を描くということがポイントです。(3)はいい感じの分割ができるまで、いろいろと図を描いてみるべきです。

まとめ

というわけで、全部の問題を解くのに35分ほどかかりました。私の場合は、問題を見れば大体の方針がすぐに立つので、そこで時間を食うことはありませんでしたが、それでも計算などはかなり大変でした。受験生のみなさんは、これに加えて考える時間も必要となるので、やはり全部解くというのはかなり厳しいテストだと思います。

「解くスピードを上げてできるだけ問題を解きたい」と思う人もいるかもしれませんが、闇雲にスピードアップを狙って解き方だけを覚えるような勉強に突っ走らないように気をつけて下さいね。1つ1つ理解して経験値を上げていけば、スピードは自然と上がっていきます。まずはちゃんと考えることを大切にして下さい。

というわけで、11月になるとすぐに統一テストとなります。それまでに、じっくりと復習して備えておきましょう。まだまだ入試までは時間があるので、焦らず弛まず怠らず、で頑張りましょう!

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