【2025年度入試】金沢泉丘高校の合格ラインを統計的に分析する~模試データから見る「平均点+100点」の現在地と、新しい目標設定~

「金沢泉丘高校を目指していますが、金沢市統一テストで何点取れば合格できますか?」
「400点を切ってしまったら、志望校を変えるべきでしょうか?」
受験シーズンが近づくと、当塾にも生徒や保護者の皆様から、このようなご相談を多くいただきます。石川県公立高校のトップ校である金沢泉丘高校。その目標の高さゆえに、具体的な「合格の目安(ボーダーライン)」を明確にしたいと願うのは当然のことです。
これまでの受験指導において、一つの目安として「400点」、あるいは「平均点プラス100点」という数字が語られることが多くありました。
しかし、近年の入試環境の変化、とりわけ「受験生の得点分布(バラつき)」の変化を考慮すると、この数字に対する認識を少しアップデートする必要があります。
この記事では、長年金沢市で受験指導に携わってきた学習塾の視点から、【金沢泉丘高校の合格ライン】について、最新のデータを基に解説します。
感覚や経験則だけでなく、2025年度に行われた「石川県総合模試」のデータ(第1回〜第6回)を統計的に解析し、今、受験生が目指すべき数値目標について、丁寧に紐解いていきたいと思います。
直近の模試結果(平均点との差)を確認してください。
1️⃣ 平均点 +135点 以上
$\Rightarrow$ 順調です(A判定水準)。基礎を維持しつつ応用へ。
2️⃣ 平均点 +110点 〜 +134点
$\Rightarrow$ 合格圏内(C〜B判定水準)。ですが、ミス一つで転落します。この記事を熟読してください。
3️⃣ 平均点 +100点 〜 +109点
$\Rightarrow$ 黄色信号(D〜C判定)。従来の目安(+100)では足りません。勉強の取り組み方の見直しが急務です。
4️⃣ 平均点 +100点 未満
$\Rightarrow$ 赤信号。今のままでは合格は厳しい現実があります。まずは「基礎の穴」を埋めるところから始めましょう。
なぜ「ボーダーは400点」と一概に言えないのか?
まず、合格ラインを考える上での大前提として、「点数(素点)」の性質について触れておきます。
多くの保護者の方が、「400点」や「380点」といった絶対的な数値を目標にされます。
しかし、私が合否の可能性を判断する際、点数だけで結論を出すことはありません。
なぜなら、テストというものは、その目的や作成者の意図、その年の出題傾向によって、平均点が30点〜40点変動することが珍しくないからです。
定期テストと入試の決定的な違い
例えば、中学校の定期テストと高校入試(および総合模試)では、テストの役割が異なります。
- 定期テスト:授業で習った内容の定着度を測るためのものです。基本的には学習した成果を確認するため、平均点は60点〜70点前後になるように作成されることが一般的です。
- 高校入試:志願者の合否を判定(選抜)するためのものです。学力差を適切に測るため、応用問題や思考力を問う問題が含まれ、平均点は意図的に低く(50点前後、5科合計250点前後)設定されます。
この性質の違いがあるため、定期テストと同じ感覚で点数を評価してしまうと、実際の入試難易度との間にズレが生じてしまう可能性があります。
また、当たり前の話ですがデータを取る母集団が異なる(模試や入試の方が圧倒的に大きい)ため、比較対象にすらならないというのが現実です。
【データ検証】年度によって変動する入試平均点
実際に、石川県公立高校入試の過去10年間の平均点推移を見てみましょう。合格者平均点は、以下のように年度によって変動しています(「合格者」平均であることに留意して下さい)。
【石川県公立高校入試 合格者平均点推移(過去10年)】
| 年度 | 実施年 | 国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 5科合計 | 前年差 |
| 令和7年度 | 2025 | 54.7 | 46.3 | 46.9 | 47.4 | 51.6 | 247 | -12 |
| 令和6年度 | 2024 | 67.2 | 41.1 | 51.1 | 52.0 | 48.0 | 259 | +12 |
| 令和5年度 | 2023 | 59.3 | 41.9 | 44.4 | 50.8 | 50.2 | 247 | +12 |
| 令和4年度 | 2022 | 54.7 | 39.9 | 47.2 | 53.5 | 39.9 | 235 | -19 |
| 令和3年度 | 2021 | 60.1 | 48.0 | 48.6 | 51.2 | 46.1 | 254 | +26 |
| 令和2年度 | 2020 | 50.0 | 43.9 | 40.0 | 48.1 | 45.3 | 228 | -38 |
| 平成31年度 | 2019 | 54.5 | 57.9 | 49.6 | 55.6 | 48.7 | 266 | +3 |
| 平成30年度 | 2018 | 52.9 | 50.6 | 51.7 | 56.2 | 52.0 | 263 | +6 |
| 平成29年度 | 2017 | 56.6 | 47.8 | 48.5 | 50.9 | 53.2 | 257 | +4 |
| 平成28年度 | 2016 | 53.8 | 47.8 | 48.0 | 52.9 | 50.5 | 253 | - |
表をご覧いただくと、平均点が比較的高い年度(2019年の266点)と、低い年度(2020年の228点)では、38点もの差があることが分かります。
「ご兄弟の時は380点で余裕を持って合格された」というケースがあったとしても、受験年度の難易度が上がり平均点が下がれば、340点台でも十分に合格圏内となる可能性があります。
逆に、問題が易化して平均点が上がれば、400点でもボーダーライン上になることも考えられます。
※令和2年度(2020年)のデータについて
2020年度の平均点は228点と極端に低くなっています。この年は入試直前にコロナ禍による一斉休校がありましたが、点数が下がった主な要因は「数学・英語の難易度が大幅に上がったこと」です(数学の平均点は40.0点でした)。もちろん、当日の受験生のメンタルなども影響していると思われますが、「入試ではこうした難度の高い年が巡ってくる可能性がある」ということを想定しておくことは、リスク管理として重要です。
合格のカギは「相対位置」
金沢泉丘高校には定員があります。合格を決めるのは、絶対的な点数ではなく、「受験者全体の中でどの位置にいるか(相対位置)」です。
極端な話、問題が難しく入学者の平均が200点の年であれば、201点を取れば合格できます。
逆に、易しい年であれば450点勝負になることもあり得ます。
だからこそ、私は生徒に対し「点数で一喜一憂しない」ように伝えています。
見るべきは、「全体の中で自分がどの位置にいるか」、すなわち「平均点との差」や「偏差値」という指標なのです。
2025年度模試データの統計分析と「標準偏差」
では、自分の相対位置を正しく把握するためには、どのような指標を見ればよいのでしょうか。
ここで重要になるのが、「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」です。
標準偏差とは何か?
少し専門的になりますが、標準偏差とは「集団の中での点数のバラつき具合」を示す数値です。
- 標準偏差が小さい(例:60前後): 受験生の多くが平均点付近に固まっている状態。少し点数を伸ばすだけで、偏差値(順位)が大きく上がります。
- 標準偏差が大きい(例:80以上): 点数が高い層と低い層に大きく広がっている状態。全体の幅が広いため、平均点から少し離れた程度では、偏差値があまり上がりません。
【データ検証】2025年度 石川県総合模試の推移
今年度(2025年)実施された石川県総合模試のデータを一覧にまとめました。ここで注目していただきたいのは、平均点よりも「標準偏差」の推移です。
【2025年度 石川県総合模試 データ一覧】
| 実施回 | 実施月 | 平均点 | 標準偏差 |
| 第1回 | 7月 | 214.6 | 79.35 1 |
| 第2回 | 8月 | 244.9 | 81.59 2 |
| 第3回 | 9月 | 248.5 | 80.15 3 |
| 第4回 | 10月 | 243.1 | 84.56 4 |
| 第5回 | 11月 | 257.0 | 79.10 5 |
| 第6回 | 12月 | 256.2 | 84.29 6 |
【分析結果】
今年度のデータを見ると、標準偏差が一貫して80前後〜84.5という高い数値で推移しています。これは、かつての標準偏差(60〜70程度)と比較すると、受験生の学力層が上下に大きく広がっている(二極化・平坦化が進んでいる)ことを示唆しています。
詳細なデータが公表されているのはこの「石川県総合模試」のみですが、金沢市統一テストや実際の公立高校入試においても、同じような分布になっていると判断して良いでしょう。
「平均点+100点」の現在地を検証する
これまでは、「平均点+100点」というのが、金沢泉丘高校合格の一つの目安として語られることがありました。
しかし、標準偏差が80を超える現在の状況において、この目安は統計的にどのような意味を持つのでしょうか。計算してみましょう。
統計的な検証
偏差値は、以下の公式で求められます。
$$\text{偏差値} = 50 + 10 \times \frac{\text{自分の点数} - \text{平均点}}{\text{標準偏差}}$$
この式に、今年度の第6回模試の標準偏差(84.3)と、平均点との差(100点)を当てはめて計算してみます。
$$\text{偏差値} = 50 + 10 \times \frac{100}{84.3}$$
$$\text{偏差値} \approx 50 + 10 \times 1.186$$
$$\text{偏差値} \approx 50 + 11.9 = \mathbf{61.9}$$
計算の結果、偏差値は「61.9」となりました。
石川県総合模試における金沢泉丘高校の判定基準(目安)は、以下のようになっています。
- 合格可能性80%: 偏差値66前後
- 合格可能性60%: 偏差値63前後
- 合格可能性40%: 偏差値61前後
この基準に照らし合わせると、現在の模試において「平均点+100点」という成績は、偏差値62弱となり、合格可能性60%のボーダーラインに届かない位置(合格可能性40%〜50%あたり)であることが分かります。
かつて標準偏差が小さかった時代には、「+100点」あれば偏差値66〜67(A判定相当)が出ていました。しかし、学力分布が広がった現在では、同じ+100点でも、相対的な位置(偏差値)は下がってしまうのです。
「平均点より100点上回っているから安心」という認識は、現在の統計データ上では修正が必要と言えます。
【グラフから読み解く「上位層の激化」】

上記のグラフ(赤い山)をご覧ください。 かつての山(青)に比べて、現在の山(赤)は「なだらかで、裾野(すその)が広い」形をしていることが分かります。
これが意味する事実は、非常に重要です。
標準偏差が大きい(山が平坦である)ということは、「平均点付近の団子状態が解消された代わりに、上位層にも下位層にも人数が広がっている」ということを示しています。
特に注目すべきは、右側の「上位層の密度(赤い線の高さ)」です。
以前であればトップ層しかいなかった「+100点」のエリアに、現在はまだ多くの受験生がひしめき合っています。
つまり、「下位層に点数が引っ張られて平均点はそこまで変わらなくても、上位層の争いは以前より遥かに激化している(高得点帯の人口密度が濃い)」のです。
これこそが、従来の感覚で「+100点取れたから安心」と思ってはいけない最大の理由です。
目指すべき「新しい目標値」の設定
現状を正しく認識した上で、では具体的に何点を目指せばよいのでしょうか。
最新の標準偏差データを基に、現実的な目標値を再設定します。
①安全圏を目指す場合
目標:平均点 + 135点
偏差値66(A判定相当)に到達するには、標準偏差(約80〜84)の約1.6倍の点数差が必要です。
$$1.6 \times 84 = 134.4$$
平均点が250点のテストであれば、385点前後がA判定の目安となります。
②合格圏(C判定)を目指す場合
目標:平均点 + 110点
合格可能性60%のライン(偏差値63)に乗るためには、平均点より110点程度の上積みが必要です。
平均点が250点の場合、360点付近が実質的なボーダーラインとなります。
これからの受験勉強においては、「平均+100点」をクリアして満足するのではなく、そこからさらに10点、20点をどう積み上げるかが重要になります。
【戦略】残り期間で「あと20点」を埋めるための具体策
統計データによって、目標とすべき数値(平均点+135点)は明らかになりました。
しかし、ここで精神論で「頑張ろう」と言ってしまっては、当塾の存在意義がありません。
ここからは、数学専門塾の視点から、残された期間で「合格率を極限まで高める」ための具体的な学習指針をお伝えします。
多くの受験生が陥る罠は、正答率が数%しかないような難問に時間を費やし、足元がおろそかになることです。
しかし、偏差値を63から66に上げるために必要なのは、難問での一発逆転ではありません。
「解けるはずの問題を、絶対に落とさないこと」。
これに尽きます。
「ミス」の原因を徹底的に言語化する
模試が返ってきたとき、単に「間違えた」で済ませていないでしょうか?
失点の原因を以下の4つに分類し、自分の弱点を直視することが大切です。
- 知識不足:定義や単語を知らなかった。
$\Rightarrow$【対策】教科書の徹底復習 - 理解不足:解説を読めば分かるが、その発想が出てこなかった。
$\Rightarrow$【対策】「なぜその解法を使うのか」を自分の言葉で説明できるようにする - 不注意(ケアレスミス):計算ミス、符号ミス、問題の読み違え。
$\Rightarrow$【対策】計算を工夫して計算量そのものを減らす - 後回し問題:優先順位の低い難問。
$\Rightarrow$【対策】深追いはしないで、ある程度で切り上げて見直しをする
金沢泉丘合格を目指す層において、合否を分けるのは 3. 不注意(ケアレスミス)でしょう。入試本番、極度の緊張状態では、普段はしないようなミスが頻発します。
これを「たまたまミスした」で片付けてはいけません。
「ミスをするような解き方が癖になっている」と捉え、普段の答案の書き方から矯正する必要があります。
石川県入試本番における「1点」の重みを知る
石川県の数学入試(大問1の小問集合や大問の(1)など)では、単純な計算・知識問題でも配点が3点〜4点あります。
一方で、大問の最後にある超難問も、配点はそこまで高くない場合が多いのです。
- A君:難問に15分かけて奇跡的に正解したが、計算ミスや知識問題で2問落とした(+4点 ー6点 = ー2点)
- B君:難問は後回しにして見直しに時間を使い、計算ミスをゼロにした(0点 ±0点 = 現状維持)
合格に近いのは、明らかにB君の戦略でしょう。
「平均+135点」を目指す場合において、満点を取るは必要ありません。しかし、「取れる問題を落とすこと」は合格の可能性を大きく下げることになるという意識を持たなければなりません。
残り期間、焦って新しい問題集に手を出す必要はありません。
また、ただ不安を打ち消すために、やみくもに問題を解き散らかす「演習量」の勝負に逃げてもいけません。
重要なのは、一問一問に対する『理解の深度』です。 間違えた問題に対し、単に解法を覚えるのではなく、「どの定義・定理に戻れば解けるのか」「なぜその式変形が必要なのか」を論理的に説明できるまで徹底的に考え抜くことです。
この『質の高い復習(論理の再構築)』にこそ、全精力を注ぐべきです。
まとめ:データに基づく冷静な戦略を
【金沢泉丘高校 ボーダーラインの再考】について、最新の統計データを用いて解説しました。
- 点数(素点)だけでなく、「平均点との差」を重視する(相対評価)。
- 近年の傾向として、標準偏差(点数のバラつき)が大きくなっている。
- 「平均+100点」はボーダーラインには届かないことも。
- 合格をより確実にするためには、「平均+110点(C判定相当)」〜「平均+135点(A判定相当)」を目標に据えるのが現実的である。
数字で見るとハードルが上がったように感じるかもしれません。
しかし、これは問題が理不尽に難しくなったわけではなく、あくまで「集団の中での位置取り」の話です。
もし現在、計算上で「平均+100点」前後(偏差値62付近)にいらっしゃるとしても、悲観する必要は全くありません。
B判定・A判定までの距離は、あと10点〜20点です。
この点数差を埋めるために必要なのは、「難しい問題を解けるようにする」ことではありません。
先述した数学の例と同じく、英語の条件英作文や国語の記述問題においても、
「取れるはずの問題で、減点されない答案を作る」
この一点に尽きます。
至誠塾では、こうした客観的なデータ分析に基づき、生徒一人ひとりの「本当の現在地」を把握し、あと何点どこで取るべきかを具体的に指導していきます。
「なんとなくの感覚」ではなく、「数値に基づいた戦略」で、志望校合格への道を歩んでいきましょう。最後まで諦めず、1点を削り出す執念を持って取り組むことが、合格への一番の近道です。



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